2015/03/13

門脈シャント

門脈シャント、門脈体循環短絡症、いろんな呼び方がある。調べてみると、イギリスの外科医John Abernethyが1793年に、内臓逆位の症例で発見している。獣医学領域では1974年にAudell, Ewingらが別々に報告しているのが最古のようだ。それからしばらく注目されなかったのは、診断が難しかったからだろう、CTによる全身検索が広まった2000年台から、人医領域でも成長期の疾患として認識され報告が増えてきた。人医領域、獣医療域が同レベルの歴史を持つまれな疾患である。

病気としてはシンプルだ。胎子が育つ過程でなくなるはずの血管が残ってしまった、もしくは胎子の頃に発達するはずの血管ができずに他の血管がその代わりに発達してしまったという奇形である。しかしその影響は時に深刻になり、めまいや痙攣発作を起こすこともある。人ではかつて、精神疾患ではないかと精神科を紹介されることもあったらしい。そして肝臓が育たないせいで虚弱になる。症状が軽い場合もあり、大人になってからたまたま発見される場合もある。

治療に目を向けると、異常な血管をなくせばいいのだから、傍から見ればシンプルな異常だ。しかし、どうも本人にとってはそう簡単なことではないらしい。ときに治療を困難なことがある。思うに、その状況に生まれて適応しながら成長したということが、病気をより複雑にしているのだろう。

術後発作症候群と呼ばれる、いまだ病態解明が不完全な合併症がある。手術後3~5日後に1割程度の可能性で原因不明のけいれんが出てしまい、場合によっては難治性で命にかかわる。血液凝固因子の不足による出血や門脈高血圧症など、病態がわかっており対処できる合併症と異なり、この痙攣発作は出ないことを祈り、出てしまったら発作を止める最大限の処置を行って回復を祈るしかない。しかも不思議なことに人医領域ではこの合併症の発生が報告されていないので、獣医は未だお手上げ状態である。

今回も、やることはやった、あとはただただ祈るのみである。

2015/03/08

胆嚢粘液嚢腫

胆嚢の不思議については前回話した(胆嚢摘出)。粘液嚢腫は閉塞→貯留という単純な問題ではないようだ。どうして過剰な粘液産生のスイッチが入ってしまうのだろうか。

胆嚢を肝臓から丁寧に剥離する
今回の症例は、より慢性重度であり、破裂こそ殆どなかったものの、切除範囲の決定にしばしの躊躇せざるを得なかった。
粘液貯留はすでに胆嚢管を越え、内側右葉肝管まで閉塞させていた。やむを得ず切開し、肝管内洗浄。おそらくメインの肝管はすでに機能しておらず、他の葉へのシャントが形成されているのだろう。肝管内の胆管上皮も壊死のためか変色していたため、裂開をさけるため切除とした。

2015/02/18

ストーマ

ストーマstomaとは、孔という意味である。医学で用いる場合には、手術により腹壁に開口させた消化管もしくは尿路の出口を指す。

獣医学領域でのストーマ造設は、直腸がんなど骨盤内蔵を侵す悪性疾患に対する補助治療であるが、個人的にはより広範囲に適応できるのではないかと考えている。

この間、犬よりも管理が難しい猫ちゃんでストーマ造設を行ったが、その後も、徐々に管理に慣れてきて順調だと聞いた。患者さんごとに注意深く適応を検討し、手術における微調整、術後の丁寧なケアにより、比較的受け入れやすいものになってきたと思う。

これまで管理が難しいという印象から敬遠されることが多かったが、手術方法の改良により今後ますます管理は改善するだろう。高齢化した犬や猫が増えている。今後は人のように癌に対しても積極的な治療が行われ、オストメイトとして長生きする犬や猫たちが増えるのではないだろうか。

2015/01/30

鎌ヶ谷警察より電話。

本日、鎌ヶ谷警察署より電話がありました。
警察の方が、通報を受けて保護した動物を当院に連れてくることがあります。
怪我した動物を病院まで連れてきていただく警官の心の暖かさには、いつもおすそ分けをいただく気分です。

こんな寒い日にまた・・・

しかし今日の電話は違いました。
「感謝状を贈呈したい」とのこと!?

日頃の活動が、積極的な協力として表彰されました。
地域社会に貢献されている警察の手助けとなれたことは喜ばしいことです。

院内に掲示させていただきます。

2014/10/23

今日の発見

なぜ、わざわざ楔を使ってまで、溝を斜めにしているのか?



なるほど〜。色んなことを考えてるんだな。

2014/10/18

HP更新しました。

HPのあちこち、小さなアップデートしました。

院長の昔話とか。副院長の趣味の話とか。少しだけ。

お暇なときにご覧ください。
https://sites.google.com/site/niahhp/

2014/10/06

ダ・ビンチ

ダビンチDa Vinciというロボットをご存知だろうか。情熱大陸にも登場した手術ロボットである。

もちろん操作するのは人間であり、自動的に手術を行うことは無い。執刀医は直接からだに触れることなく、機会に頭と手足を突っ込んで映像を見ながらメスや糸をあやつる。すると患者のからだに差し込まれた3〜4本のロボットアームが執刀医の意のままに動き、細かい手術を行う。まるで執刀医が小人になって狭いからだの中に入り込んだかのような距離で病変と対峙する。

まだ触れたことも無い(ちらっと見たことはある)が、外科医にとってはある究極的な到達点であると感じた。機器の精度やアームの数、内視鏡同様の術前計画や経験が成否を分けるとはいえ、通常の手術では見ることのできない視野で、内視鏡外科では感じにくい刃先の感触をしっかり感じながら病変に向えることは、外科医にとって非常に大きなアドバンテージとなる。

これまで肉眼手術中に感じた、見えない動かせないことへのもどかしさ、内視鏡アームでできてしまう病変への遠い距離感。これらを払拭できる。

動物用にアームが小型化し検討が重ねられ、十分な練習を積めたら、これまで苦闘してきた巨大胸腺腫なんかに極めて有力なんだと思う。

お値段が下がらないとなあ・・・2億4800万円だそうな。桁が2つは違うよ。