中型犬のお腹が張っている。明らかに張っている。CTでは腹腔内ほぼ全域を占める塊。大腸や膀胱か?エコーでもCTでも由来は今ひとつはっきりしない。
開けるまでわからない。CTがまだ普及していない一昔前の緊張感を思い出す。こんなときは、正直に、取れずにお腹を閉じるかもしれないし、出血が多く命にかかわるかもしれないと話す。ただ、こうした巨大腫瘤で症状が軽い場合には、臓器への侵襲が少なく、難なく取れることが少なくない。だから覚悟を決めて開けると話す。ただ飼主さんにも相応の覚悟をしていただく。
開けて状況を確認すると、膀胱壁腫瘤と判明。取れるのでは?でもまだ奥が見えない。癒着した大網には、経過が長いことを思わせる、怒張した血管が走る。慎重に切断。癒着した大網を分離し、背側へ手を伸ばす。取れる。表面の脈管はすべて拡張し動脈は拍動していた。しかし前膀胱動脈がメインの栄養血管と分かり、しっかりと結紮できたあとは、膀胱部分切除。
術後トラブルなく元気にしているとのこと。あとは病理結果次第だが、恐らく平滑筋腫もしくは肉腫だろう。
平滑筋腫、完全切除
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