右肘部腫瘤切除後に、胸背動脈皮弁により創閉鎖
肘部に数年来あるしこりが急に大きくなってきたとのこと。
状況からもっとも疑わしいのは、血管周皮腫(今は軟部組織肉腫とまとめられている)。通常この腫瘍の挙動はおとなしいが、今回はどうも怪しい。たとえおとなくしても自壊することは必至。
患肢温存を選択しマージナルでの切除を行った。三頭筋外側頭遠位、上腕筋膜を深部マージンとして切除しつつも、基本的には腫瘤被膜ぎりぎりでの切除。
エコー上でも血流豊富であったが、この場所でこれだけ止血に難渋するとは。本来大血管は殆どないが、ヘモクリップを多用する必要があった。
切除後の皮膚欠損は広範であり、上腕部では肢の半周に至るものだった。
幸い皮下脂肪豊富で健康的な胸背部がある。
この場所は、有茎皮弁の中で最も安定感のある大型の皮弁を作成できる(理論だてた外科解剖が重要)。
自信持って大きくメスを入れる。小さくなって創に緊張を残しては元も子もない。
あとは丁寧に緊張作らないように縫合。
病理検査結果:血管周皮腫、マージン(+)
この場所で、血管周皮腫で、マージン(+)の場合、Elmslieらの報告(2008年)にしたがって、メトロノーム化学療法を行っている。
大学での実験結果も合わせると、シクロホスファミドを使いにくい場合にはピロキシカムだけでも有効なんではないかと思っている。
今回はコンプライアンスの問題があったため低用量ピロキシカムのみ継続してる。
そして3ヶ月目。しっかり発毛し、関節の機能障害はほとんどない。
このまま、元気に走り回ってほしい。
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